見学・もうすぐ60才の定年間近の男性が会社見学に来ました。・・6月6日・火曜日
もうすぐ60才になる彼は、
20年以上も勤め上げた中小企業を今秋に定年退職する。
役員としての、直近の年収は、850万円。
会社の規模からすると、かなりの高給取り。
60才の定年後に再雇用を希望すれば出来るが、
期間は最大で5年間、提示された年収は600万。
850万からの600万というダウン条件は、
本人から見たら不服かも知れんけど、
俺から見たら、かなり恵まれた良い条件提示やと思う。
普通に考えたら、
その条件で65才まで働いて、
年金を貰えば良いと思うんやけど、
そうは出来ない問題が2つあった。
住宅ローンと、親の介護。
それでは、72才まで残る住宅ローンを払いきれない。
高額なローンを72才まで組む事を、
ここでとやかく言うのは違うとは思うが、
きっと、楽観的な性格の人なんやろんね。
とはいえ、60才定年後の再就職は簡単では無い。
そんな中で、タクシー会社だけは、
60才以上の高齢者の雇用に積極的やと言われているが、
若い世代だけで入社枠が埋まるのであれば、
あえて、高齢者を積極的に雇用するという判断はしない。
現実は、それだけでは無く、
好きなタクシー会社を選べるのは、62才まで、
人を集めるのに苦労してるタクシー会社や、
離職率の高いタクシー会社であれば、
63才以上でも、雇用して貰えるやろうけど、、
タクシー会社にも一応は定年があり、
多くのタクシー会社は、65才まで、
そこから先は、1年ごとに契約を更新するのが一般的。
事故やクレームの多い人は、簡単に切れるようになる。
タクシー会社の規模が大きくなればなる程、
65才以上を簡単に切り捨てる。
俺の側の受け入れにも問題がある。
もし彼を、
KAZチームの一員として迎え入れる場合、
年下の師匠の、厳しい指導を受け入れる必要があるし、
年下の先輩達に、頭を下げる事を強いられる。
大きな挫折も無く役員まで昇り詰めた彼に、
息子みたいな年齢の先輩に対して、
頭を下げる事を強要するのは、
彼のプライドを傷つける危険性があるし、
余計なストレスを与えてしまう恐れもある。
彼と初めて電話で話してから今日までの10日間、、
俺なりに真剣に考えた結果、、
ウチの会社には来て貰うようにはするけど、
KAZチームの一員として迎え入れるのでは無く、
中ちゃんに彼の今後を任せる事にした。
ホームラン中ちゃんは、
俺の稼ぎの手の内を全て知ってるし、
リスク回避のテクニックも知ってるし、
問答無用の鬼教官でもない。
彼が70才までタクシーで稼ぐ為に必要な事を、
俺よりも優しく教えてくれる。
今日の会社見学の最中に、
打ち合わせしたかの如く、
ドンピシャのタイミングで中ちゃんが現れるという、ハプニングがあった。
余りの偶然に、流石に、ちょいドン引きしたけど、
コレも、導かれた運命なんやと思うと少し感動もした。
入社までの手解きは、俺が全部やるから、
後は、頼んだで、中ちゃん。